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Je pense, donc je suis.

Je pense, donc je suis.(我思う、故に我あり。)  というか、ただの日記です。

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アルベール・カミュ(著)「カリギュラ」

今日から、パリのオペラ座では、世界初演の「カリギュラ」というバレエ作品が上演されている。振付は、現役エトワールでもあるニコラ・ル・リッシュ。この作品が上演されるという発表があった頃、「カリギュラ」ときいて真っ先に思い出したのが学生時代のフランス語の授業。アルベール・カミュの戯曲「カリギュラ」を原文で読まされたのだ。というわけで、我が家には、捨てるに捨てられない思い出のフランス語の「カリギュラ」の本が転がっている。しかし、先生の解説は、聞いた直後からほとんど右から左へ抜けてしまっているような不真面目な学生だったため、今や内容もすっかり忘れきっているという情けない状態。とりあえず、記憶に残っているのは、カミュの文学の特徴である「不条理の哲学」という言葉と、カリギュラが月を欲しがっていたこと、そして、その月が抽象的な何かを象徴していたということ。その何かが思い出せなくて気になり始め、どんな話だったかなーと改めて読み直そうと思ったら、フランス語の本とセットで買っていた新潮文庫の日本語版「カリギュラ」が本棚に見当たらない。授業で使っていたノートも必死に探すがどうも処分してしまった様子。ちぃ!本だけでもまた買うか・・・と調べてみたら、なんと絶版。くぅ~、中古でもいいやと探すがこれまた見つからず、あきらめて、よし、それなら!と張り切って原文を読み始める。幸い、単語は学生時代に辞書を引いた書き込みが本の中にたくさん書いてあったので改めて辞書を引く手間は省けていたのだけれど、やっぱり原書だと訳すのに精一杯で、内容を理解するまでには時間がかかって読みづらいので、1幕1場を読んだだけで放棄。そんな状態でいたのだが、最近になってやっと中古の新潮文庫を手に入れたので読み直してみた。いやはや、もう翻訳者にブラボー!と叫びたい気分。素晴らしい翻訳。日本語としても美しく、判りやすく、そして何よりカッコイイ文章に惚れ惚れ。とくにカリギュラのセリフ。私は、結論を明解に引き出すようなこういう論文っぽい文体が好き。あまりにも突飛で危険な論理でも、ダンダンダン、と三段論法で攻めてこられると、その発想の展開自体をすごく面白いと感じる。それでいてしっかりとセリフは美しいのだ。このあたりの印象は、三島由紀夫を読んで「面白い!」と思った時の印象に似ている。戯曲は基本的に苦手なジャンルなのだけど、「カリギュラ」は、そこにしっかりとしたカミュの哲学があるところが、とても面白く、これは戯曲でも全然平気で、むしろ面白かったぐらいでした。内容も、学生時代は全く理解できなかったのに、今読むとなーんとなくわかる。妹ドリジュラと近親相姦の関係で愛し合っていたカリギュラが、その最愛のドリジュラの死によって「不条理」に目覚める。不条理に目覚め、不条理と折り合いをつけるために神を否定する。神を否定することによって、自由に目覚め、自分が神になろうとする、神を超越した存在になろうとする。その根底にあるのは大きな孤独。もちろん、月だの鏡だのと、抽象的なものが出てくるので、解説が欲しくなったりもするのだけれど、なーんとなく感覚で理解しているだけの状態でも十分面白かった。こんな素晴らしい本を絶版にしてしまうとは、新潮文庫さん、どうして?って感じ。そして、せっかく、カミュの達人(※オタクとも言う)による解説付きの授業を受けていたのに、何にも覚えていない自分にも、どうして?状態。「カリギュラ」だけでなく「誤解」もこれまた不条理なお話で、なかなか面白かったし、文章との相性がいいので、ちょっとカミュに興味が出て来た。次は「異邦人」を読んでみようっと。ちなみにアルベール・カミュは、タレントのセイン・カミュの叔父にあたるそうな。知らなかったわ。へェー(←トリビアの泉風にどうぞ)。
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「カリギュラ・誤解」 新潮文庫
アルベール・カミュ (著),
翻訳:渡辺 守章, 鬼頭 哲人
Amazon.co.jpでこの本の情報を見る
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| 読書 | 23:09 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

JOLLYさん、遅ればせながらお誕生日おめでとうございます~!(昨日、コメント書いたつもりが遅れていなかったみたいで)

そして「カリギュラ」の解釈、さすがです。私、これ読んでもちーっとも分からなかったんですわ(笑)。はっきり言って理解不能・・・、途中で読むのやめようかと思っちゃいました(^_^;) なんていうか、論理的に語ってくれてるんだとは思うんだけど、その論理が全然私の頭の中には入ってこないんですよね。ああ、私ってば感覚的な人間なんだ、って思います・・・。

あと5日後にはこの作品を観るんだと思うと、ちょっとドキドキです。理解できるかなー(笑)。

| はなはな | 2005/10/22 00:37 | URL |

はなはなさん

お祝いのお言葉、どうもありがとうございます。
いよいよパリですねー。羨ましい。レポ楽しみにしていますね。
(とくにイレール)

「カリギュラ」は、私も初めて読んだときは、
狂人の思想なんて、常人に理解しろってのが無理だ!と匙を投げました。
でも、先にカミュの思想(要するに「不条理」)を頭に入れてから読むと
言いたいことがなーんとなくわかってきますよ。
なんせ、すべてが「不条理」なので、そこに理屈なんてないんですよね。
そこに理屈を求めると、「わけわからん!(怒)」になるのですが、
「ああ、不条理なのね~」と割り切って読むと、
不条理に苦しむカリギュラが見えてきて、ただの暴君ではなく
不条理に苦しみ、不条理で世の中に対抗する気の毒な男に思えました。
そのあたり、ニコラは、どう振付し、ジェレミーやマチューはどう踊るのか、
とても興味があります。
ああ、生で見れるはなはなさんが羨ましい~。
パリは寒いと思うので、しっかり防寒して風邪を弾かないように、お気をつけて!

| JOLLY | 2005/10/22 08:05 | URL |















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