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Je pense, donc je suis.

Je pense, donc je suis.(我思う、故に我あり。)  というか、ただの日記です。

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大阪市立美術館の佐伯祐三展と常設展の伊藤若冲

yuzo_saeki2008001.jpg生憎の雨の日曜日。今日は、大阪市立美術館(天王寺)で開催している「没後80年記念 佐伯祐三展  -パリで夭逝した天才画家の道-」を見に行って来ました。特別展の佐伯祐三の絵ももちろんなのだけれど、大阪市立美術館の常設展で見れる伊藤若冲の水墨画にも心引かれ、両方一緒に見れるとは、これ、オトクなり!とばかりに、雨にも負けず張り切って出かけてきました。

私は、佐伯祐三の絵が好き。初めて見た佐伯祐三の絵がどの絵だったか、どこで見たのかも全く記憶にないのだけれど、絵の随所にフランスを愛する気持ち、フランスの空気が表れているところや、独特の暗さ、そしてその暗さの中に原色を多用した強烈な色彩とか、力強いタッチ、そして描くモチーフ(主にパリの街角)に心惹かれる。佐伯祐三の絵って、暗さと明るさのバランスが好み。暗いけど明るい。明るいってのは精神的な明るさというより、単純に色彩のキツイ鮮やかな原色を暗い背景の中にアクセントとして使ってるって感じなんだけれど、そのせいか暗いけど温かみのある暗さって感じっていうのかな。あと、人影。街角の風景なんかが多いんだけれど、そこに描かれてる人影がものすごく好き。

佐伯祐三(1898-1928)といえば、日本のフォービズム(野獣派)とも言われる大阪出身の画家で、東京美術学校(現在の東京芸術大学)で絵を学び、25歳で渡仏、その5年後にパリで短い生涯を閉じた人。パリを愛し、パリを描き、わずか30歳でこの世を去った人。2008年は、佐伯祐三の生誕110年と同時に、没後80年という節目の年とのことで、春頃は横浜で展覧会があり、秋は大阪で展覧会があるとのことだったので、とても楽しみにしておりました。大阪市立美術館での展覧会での展示作品は芸大時代の作品から亡くなる直前までの作品が約110点とのことで、かなり見ごたえのある展覧会でした。

yuzo_saeki2008002.jpg佐伯祐三は、パリに2度渡っていて、1度目は船で渡仏。2度目は体調を崩して家族に心配され、いったん日本に連れ戻されたにもかかわらず、どうしてもフランスへ戻りたいとシベリア鉄道で渡仏。今じゃ、気の遠くなるような時間をかけてパリへ渡った佐伯祐三が、どれほどパリを愛していたか、そして、その短い生涯の心の変遷は、彼の絵を見れば随所に表れています。心理的な状態って、こんなにも絵に表れるものなんだなぁ・・・と絵のタッチの変化と解説を照らし合わせて鑑賞しながら、しみじみと感じました。意気揚々とパリに乗り込んできた頃、セザンヌに触発されて描いた絵は光と明るさに満ちていて、それがブラマンクに出会い「アカデミック!」と一喝された後に描いた絵になると、色使いも徹底して暗く、とりわけ、その頃に描いた自画像(=今回の展覧会のチケットの半券に使われている絵)の暗さったら、顔は削り取られ、絵筆やパレットを持つ手も弱弱しく、もう本当に人生のどん底にいて自分の作風を模索し悩んでいる精神状態をそのまま象徴しているような暗い絵。その後、ユトリロと出会ってパリの街角を描き始めた頃の絵や、日本に戻って、日本のアトリエ(新宿区下落合)付近の風景を描いたものや、故郷の大阪を描いた絵、そして、パリに戻ってから描いた絵、時系列に展示してくれているので、その精神状態の変化や作風の変化がとてもよくわかりやすい。死の直前には、精神に異常をきたし、精神病院に入院していた佐伯祐三。その時期の絵は、とくに黄色の印象が強かった。

私が今回の展覧会で一番気に入った絵は、人形の絵。佐伯祐三が当時の1ヶ月分の生活費をはたいてまで衝動買いしたという女の子のお人形の絵なんだけれど、この絵が一番好きでした。ちなみに、この絵には暗さが皆無。あと、「郵便配達夫」「煉瓦焼」「レ・ジュ・ド・ノエル」なども展示されていました。この展覧会は10月19日までやっているようなので、興味のある方はぜひ。ちなみに、この展覧会、5月から6月にかけては横浜のそごうで行なわれていたみたいで、そごうのサイトにも、まだ佐伯の代表作が紹介されています。

佐伯祐三展も大満足だったのだけれど、忘れちゃいけないのが大阪市立美術館の常設展示。常設展だけ見る場合は300円ですが、特別展(今回の場合は佐伯祐三展)を見る場合は常設展は無料で見れます。こちらでは例の伊藤若冲が見られます。展示されていたのは水墨画の襖絵と屏風絵。これが、圧巻でした。個人的には、京都の承天閣美術館で見た2作品(※参照日記こちら)以上の感動だったかも。というのも、承天閣美術館はお茶室を再現しているから、実際の絵と見る側との間に距離があったのだけれど、大阪市立美術館の常設展だと、けっこうギリギリまで作品に近づいて至近距離で見れたので。展示されていたのは、6枚組だったか8枚組だったの鶏の襖絵シリーズが2つ。あと、野菜を描いた5枚組の絵が1つ(「蔬菜図押絵貼屏風」)。日本画に関してはド素人の私でも、入り口から遠景で見えただけで「あ、若冲だ!」ってわかるぐらいインパクトがあって、身震いするぐらいの迫力でした。ぜひ大阪市立美術館へ立ち寄る際は、特別展だけではなく、二階の常設展にも足を運んで、この迫力を感じてもらいたいなーと強く思いました。というわけで、一粒で二度おいしかった、大阪市立美術館。大阪も侮れないよ!(笑)

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| 美術 | 18:35 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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